生活にも副業にも使う車では、ガソリン代の領収書だけを見ても仕事分は分かりません。給油した期間と、その期間の総走行距離・業務で走った日付・区間・目的を対応させて、仕事に必要な部分を説明できる状態にします。
この記事では、1か月の給油額18,000円、総走行距離500km、業務走行200kmという架空例を使い、距離を基準に40%・7,200円を確認します。40%は標準割合ではありません。距離がいつでも正しい基準という意味でもなく、実際の使い方と支出に合う合理的な基準を選ぶ必要があります。
資料確認日:2026年9月23日。金額・走行距離・日付・区間・記録IDはすべて説明用の架空例です。
ガソリン代は、給油記録と同じ期間の車の使い方を見る
国税庁は、家事上の費用は必要経費にならず、家事と業務の両方に関わる費用は、取引の記録などに基づいて業務上必要な部分を明らかに区分できる場合に、その部分を必要経費にできると案内しています。C25-N1
ガソリン代を分けるときは、先に次の資料を同じ対象期間へそろえます。
| 資料 | 確認すること | この架空例 |
|---|---|---|
| 給油記録 | 給油日、金額、車両、値引き・返金の有無、資料の保管先 | F01〜F03、合計18,000円 |
| 走行の始点・終点 | 同じ期間の総走行距離を計算できるメーター値 | 20,000kmから20,500km |
| 業務走行記録 | 日付、目的、区間、業務走行距離、対応資料 | G01〜G03、合計200km |
| 確認メモ | 分子・分母、計算式、確認日、未確認事項 | 200km÷500km=40% |
給油日が対象期間から外れている、値引きや返金を反映していない、別の車の領収書が混ざっている場合は、18,000円をそのまま按分対象の費用にしません。レシート画像だけでなく記録IDと保存先を結ぶ方法は、領収書・レシートを記録へつなぐ手順で確認できます。
この記事は、個人事業で同じ車を生活と業務に共用し、その月のガソリン代を整理する例です。車両の購入・減価償却、自動車税、保険、駐車場、高速料金、修理、売却、会社からの通勤費や経費精算、レンタカー、電気自動車の充電費は対象に含めません。
業務走行は、日付・目的・区間・距離を残す
「仕事で車を使った」という月末の記憶だけでは、どの走行が業務に必要だったかをたどりにくくなります。業務走行ごとに、日付・用務・出発地と到着地・距離を記録し、訪問予定、納品記録、購入資料など対応する資料IDがあれば結びます。
以下は架空の走行記録です。住所や取引先名は説明用の区分名に置き換えています。
| 記録ID | 日付 | 業務の目的 | 区間 | 往復距離 | 対応資料 |
|---|---|---|---|---|---|
| G01 | 9月4日 | 取引先との打合せ | 自宅付近―取引先A | 60km | 予定表A01 |
| G02 | 9月12日 | 商品の納品 | 自宅付近―納品先B | 90km | 納品記録B01 |
| G03 | 9月20日 | 業務用品の購入 | 自宅付近―店舗C | 50km | 購入記録C01 |
| 合計 | 200km |
総走行距離は、対象期間の始点20,000kmと終点20,500kmの差から500kmとしています。業務記録の200kmだけを残しても、全体の走行距離が分からなければ割合の分母を確認できません。
国税庁の通達は、業務の内容、経費の内容、家族や使用人の構成、資産の利用状況などを総合して判定する考え方を示しています。また、業務に必要な部分が50%以下でも、その部分を明らかに区分できる場合の扱いを示しており、「50%を超えなければ一律に経費にできない」とはしていません。C25-N2
移動の目的が生活と業務にまたがる、家族が同じ車を使う、走行距離が推定でしかない場合は、業務分へ先に入れず確認待ちにします。途中で私用に立ち寄った走行を、すべて業務走行として扱う例でもありません。
架空例:500kmのうち業務200kmを照合する
この例では、給油記録と走行記録の対象期間を同じ9月1日から9月30日までとします。給油額は次の3件です。
| 給油記録ID | 給油日 | 支払額 | この例での確認状態 |
|---|---|---|---|
| F01 | 9月2日 | 6,000円 | 対象車両・値引き後の支払額を確認 |
| F02 | 9月14日 | 5,500円 | 対象車両・値引き後の支払額を確認 |
| F03 | 9月25日 | 6,500円 | 対象車両・値引き後の支払額を確認 |
| 合計 | 18,000円 | 返金なしという架空設定 |
走行距離は、総走行500km、業務走行200km、その他の走行300kmです。割合は次のように計算します。
対象期間の総走行距離:20,500km-20,000km=500km
業務走行距離:60km+90km+50km=200km
業務割合:200km÷500km=40%
freeeの公式ヘルプは、事業と生活で共用する車のガソリン代などを家事按分の対象例に挙げ、車の比率について走行距離や使用日数を例示しています。同時に、合理的に説明できる比率の範囲で登録するよう案内しています。C25-F1
走行距離は今回の記録と費用の対応に合うため採用した一例です。使用日数が合う場合もありますが、1日の走行距離が大きく違えば、日数だけではガソリン使用との対応を説明しにくいことがあります。業種や車の使い方、記録の状態を見ずに、距離・日数・固定割合のどれかを一律に選びません。
18,000円を40%で分け、7,200円を検算する
この架空例では、同じ期間の給油額18,000円に、確認した業務割合40%を掛けます。
仕事分:18,000円×40%=7,200円
生活分:18,000円-7,200円=10,800円
検算:7,200円+10,800円=18,000円
| 確認項目 | 計算 | 架空例の結果 |
|---|---|---|
| 業務割合 | 200km÷500km | 40% |
| 仕事分 | 18,000円×40% | 7,200円 |
| 生活分 | 18,000円-7,200円 | 10,800円 |
| 元の給油額との検算 | 7,200円+10,800円 | 18,000円 |
7,200円はこの架空資料をこの方法で分けた結果です。税金が7,200円減る、すべての人が40%を使える、または車に関する他の費用にも同じ40%を自動で適用できる、という意味ではありません。
按分後に帳簿へどう記録するかは、支払口座と、元の18,000円をすでに登録したかどうかで変わります。家事按分後の仕訳と支払いを照合する例へ進み、割合の計算と仕訳を分けて確認してください。
給油時期と走行期間がずれたら、計算を固定しない
ガソリンは給油した日にすべて使い切るとは限りません。月初・月末にタンクへ残っている燃料が大きい場合、1か月の購入額と同じ1か月の走行がきれいに対応しないことがあります。年末には、国税庁の青色申告向け手引きが未使用のガソリンを消耗品などの棚卸し対象の例に挙げています。C25-N3
次の状態では、18,000円×40%を機械的に使わず、対象期間と資料を見直します。
| 状態 | 先に確かめること |
|---|---|
| 月末直前に満タンにし、翌月に多く走った | 購入した期間と使用した期間のずれ、採用する経理方法 |
| 別の車の給油が混ざった | 車両を識別できるメモ、カード明細と領収書の対応 |
| 家族の給油・立替・返金がある | 誰がどの車へ給油し、最終的にいくら負担したか |
| 給油値引きやポイント利用がある | 領収書上の支払額、値引き・ポイントの扱い、カード請求額との対応 |
| 業務走行に生活目的の立寄りがある | 区間ごとの目的と、業務に直接必要な部分 |
| 始点・終点のメーター記録がない | 分母を後から推定せず、他の記録で説明できるか |
少額で差が小さい場合を含め、どの経理方法を採るべきかはこの記事だけで決めません。対象年の制度、継続している記帳方法、実際の燃料残量や利用状況を踏まえ、判断が必要なら税務署や税理士へ確認します。
根拠メモを残し、一般の家事按分と仕訳へつなぐ
照合後は、割合だけでなく分子・分母と資料IDを残します。個人の住所や取引先の詳細を公開用メモへ書く必要はありません。自分で原資料へ戻れるIDを使います。
対象期間:9月1日~9月30日
対象車両:共用車V01
給油記録:F01~F03、合計18,000円
総走行距離:20,500km-20,000km=500km
業務走行記録:G01~G03、合計200km
採用した基準:走行距離(この期間のガソリン使用との対応を確認)
業務割合:200km÷500km=40%
仕事分:18,000円×40%=7,200円
生活分:10,800円
未確認事項:なし/あれば内容と確認先を記載
確認日:資料を照合した日
ガソリン代以外の共用費について費目に合う基準を考える場合は、家事按分の割合と根拠メモへ戻ります。同じ40%を家賃、通信費、保険料などへ横展開しません。
毎月の明細取込や按分結果の照合に手間が残る場合は、会計ソフトで確認したい取込みと照合の条件も比較できます。ソフトが計算しても、業務走行の事実や採用した割合の妥当性まで自動で確定するわけではありません。
最後に、給油額18,000円、総走行500km、業務走行200km、仕事分7,200円を一続きでたどります。数字だけを保存せず、どの期間・車両・給油記録・業務目的から計算したかを残して、仕訳の確認へ渡します。
参考にした一次情報
確認日:2026-09-23。整理手順と架空の記入例は、このサイトで作成したものです。
- 国税庁:No.2210 必要経費の知識。令和8年4月1日現在法令等。家事上の費用と、取引の記録などに基づいて業務上直接必要な部分を明らかに区分できる家事関連費の扱いを確認。個別の車や割合を承認する資料ではありません。確認日:2026-09-23。
- 国税庁:所得税基本通達45-1・45-2。業務内容、経費内容、資産の利用状況などによる総合判定と、業務に必要な部分が50%以下でも明らかに区分できる場合の扱いを確認。走行距離を唯一の基準と定める資料ではありません。確認日:2026-09-23。
- 国税庁:令和7年分 青色申告の決算の手引き(一般用)。令和7年10月1日現在の法令等に基づく過年度資料。未使用のガソリンを消耗品などの棚卸し対象例に挙げる説明を確認。令和8年分以後の最終様式や、すべての月次処理を定める資料としては使っていません。確認日:2026-09-23。
- freeeヘルプセンター:家事按分を登録する。更新日2026年8月20日。共用車のガソリン代等、走行距離・使用日数の比率例、利用者が設定した比率で計算する機能を確認。税務上の妥当性をfreeeが個別に保証する資料ではありません。確認日:2026-09-23。
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