仕事と生活で共用する支出を1つ選び、総額・使い方・根拠資料・計算式をまとめたメモを作ります。家賃90,000円を仕事分18,000円と生活分72,000円に分ける架空例で、数字と資料の対応を確認します。
20%はこの例の計算結果です。自分の支出へそのまま当てはめる目安ではありません。
家事按分は、共用する支出の仕事分を区分する作業
家賃など、生活にも仕事にも関わる支出のうち、仕事に必要な部分を区分することを家事按分と呼びます。国税庁は、生活上の費用は必要経費にならず、両方に関わる費用も、取引の記録などから業務に直接必要な部分を明らかに区分できることが必要と案内しています。[C11-N1]
| 使い方 | 先に確かめること |
|---|---|
| 仕事だけに使う | 購入内容・仕事との関係・必要経費に含められる条件を確認する |
| 生活だけに使う | 私用分として分ける。仕事の費用へ加えない |
| 仕事と生活で共用する | 使い方を確認し、仕事分を説明できる資料と計算方法をそろえる |
用途自体が分からない明細は、先に仕事用・生活用・確認待ちに分ける手順へ戻ります。仕事用に分類できたことと、税務上の必要経費として確定したことは別です。
「白色なら50%超だけ」「青色なら自由」とは考えない
所得税法45条では家事上の費用などを必要経費から除き、施行令96条は家事関連費について、主たる部分が業務に必要で、その必要部分を明確に区分できる場合などを定めています。青色申告の承認を受けている人には、取引の記録等から業務に直接必要な部分を明らかにする規定もあります。申告方法だけで任意の割合を決められるわけではありません。[C11-N3]
さらに国税庁の通達45-2は、必要な部分が50%以下でも、明らかに区分できる場合の扱いを示しています。50%を超えなければ一律に不可、とは読めません。通達45-1も、業務や経費の内容、家族等の構成、資産の利用状況などを合わせて判定するとしています。割合の数字を先に選ぶより、実際の使い方を説明できることが出発点です。[C11-N2]
以下は個人事業の支出整理の例です。副業の所得区分、法人の処理、消費税の税区分、個別の支出が必要経費になるかの判定までは扱いません。
割合の前に、総額・利用場所・対象期間をそろえる
最初は、確認しやすい1費目・1か月を選びます。家賃なら「請求書にいくら書かれているか」だけでなく、「どの場所を、何の仕事に、いつ使ったか」を横に並べます。以下はメモを作るための編集上の整理手順で、これだけで税務上の要件がすべて満たせるという意味ではありません。
- 対象と総額を書く。 「9月分の家賃」のように期間と費目を特定し、契約・請求の内容からその費目の金額を確認します。敷金や更新料など、別の性質の支出を混ぜないようにします。
- 仕事での使い方を書く。 場所、作業内容、私用との共用の有無を記録します。「自宅で仕事をする」だけでなく、どの範囲を使うかまで具体化します。
- 対象期間を合わせる。 その月を通して同じ使い方だったか、途中で変わったかを確認します。1か月の金額へ、別の期間の利用状況を無条件に当てはめないようにします。
- 資料の名前と保管先を結ぶ。 契約・請求資料、支払記録、寸法の分かる図、利用状況のメモに、あとで探せるIDを付けます。
元の資料は残したまま、メモから参照できるようにします。保存先の付け方は、記録IDと資料の保管先を結び付ける方法へ。メモの作成と、書類や電子取引データの保存要件を満たすことは別の作業です。
費目に合う基準を選び、分子と分母を書く
基準は、支出と実際の使い方を説明できるものを選びます。freeeの公式案内では、家賃なら使用面積、車なら走行距離や使用日数など、合理的に説明できる比率の例を挙げています。同じ基準がすべての費目に適するという意味ではありません。[C11-F1]
面積を使うなら、分子は仕事で使う面積、分母は対応する全体の面積です。単位と範囲を合わせ、「どの図や測定から、この数字を出したか」まで書きます。仕事専用の部屋と、家族も使う居間を同じ扱いにはしません。
「20%」だけでなく、「全体60㎡のうち、仕事専用の12㎡。この月は同じ用途で使用。面積図と利用状況メモを参照」と残します。数字の出どころと、私用を含めていない範囲をあとから確認できます。
家賃で面積を基準にしたからといって、電気代や通信費にも同じ割合を自動で使わないようにします。それぞれ何に対する料金か、実際にどう使ったかを確認し直します。
架空例:60㎡のうち仕事専用12㎡をメモにする
ここからの金額・日付・面積・資料IDはすべて説明用の架空例です。個人事業のデザイン制作のために使う部屋があり、仕事に必要な部分を資料で区分できる設定にしています。
- 2026年9月分の家賃は90,000円。親族ではない貸主への家賃で、契約上の事業利用の条件と、この月の費用にできる前提を確認済みとします。
- 全体60㎡のうち12㎡を仕事専用に使い、その1か月は使い方が変わらない設定です。残り48㎡は生活用で、共用の廊下等を仕事専用の12㎡へ加算していません。
- この90,000円には管理費・光熱費・敷金・更新料等を含めず、返金や減額もないものとします。
生計を一にする親族へ支払う家賃は別の扱いがあるため、この例をそのまま当てはめません。持ち家の住宅ローン返済額も、この家賃の数字へ置き換える例ではありません。[C11-N1]
| 項目 | 記入内容(すべて架空) |
|---|---|
| 対象・記録ID | 2026年9月分の家賃/C11-RENT-09 |
| 元の金額と資料 | 90,000円。契約・請求資料 C11-BILL-09、支払記録 C11-PAY-09を参照 |
| 仕事での用途 | 受託したデザイン制作の作業場所。12㎡の部屋は仕事専用で、私用には使わない |
| 基準と根拠 | 面積。全体60㎡、仕事専用12㎡。寸法を確認した面積図 C11-PLAN-09と、当月の利用状況メモ C11-USE-09を参照 |
| 割合の計算 | 仕事専用12㎡ ÷ 全体60㎡ = 20% |
| 仕事分の計算 | 90,000円 × 20% = 18,000円 |
| 生活分と検算 | 90,000円 − 18,000円 = 72,000円。18,000円 + 72,000円 = 90,000円 |
| 見直す条件 | 私用にも使い始めた場合、利用場所・金額・期間が変わった場合は、根拠を確認し直す |
この例で按分後の仕事分は18,000円です。面積の根拠や仕事での利用実態を省いて「家賃の20%なら経費になる」とする例ではありません。実際のメモには、自分が確認した日と、参照した資料の保管先も書き足します。
共用や使い方の変更は、分からない点を残して確かめる
実際の使い方が架空例と違うときは、20%を維持するために説明を合わせず、違う点を先に書きます。業務や資産の利用状況などを総合して判定するため、面積だけでは説明しきれない場合もあります。[C11-N2]
| 分からないこと・変わったこと | 追加するメモ |
|---|---|
| 同じ部屋を私用にも使う | 仕事と私用それぞれの使い方・期間・利用実績。仕事専用12㎡の例とどこが違うか |
| 面積を測っていない | 確認できた寸法と未確認の範囲。分子・分母をどの資料で確かめるか |
| 月の途中から使い方が変わった | 変更した日、変更前後の用途・範囲。その月の料金とどう対応させるか |
| 費用にできる前提が分からない | 支払相手、契約、業務との関係、対象期間。確認したい論点を資料と一緒にまとめる |
根拠が足りない欄は「未確定」とし、足りない資料や確認事項を残します。未確認を0%や50%などの数字で埋めないようにします。個別の判断が必要な部分は、このメモを使って税務署や税理士へ確認してください。
根拠メモを記録と結び、二度按分しない
計算ができたら、記録IDに「総額90,000円・仕事分18,000円・生活分72,000円・割合20%・根拠資料」をまとめます。帳簿や会計ソフトには、どの金額を登録済みかも書き添えます。
たとえばfreeeの家事按分機能は、登録した支出に対し設定した割合で計算し、生活分を事業主貸へ振り替える仕組みです。利用者が入力した割合を計算する機能であり、仕事での使い方や割合の妥当性を代わりに決めるものではありません。[C11-F1]
- 総額を登録したのか、仕事分を登録したのかを確認する。 メモの90,000円と18,000円を取り違えないようにします。
- 按分がどこで行われたかを書く。 手計算で仕事分にしたのか、ソフトに総額と割合を入れて計算したのかを残します。
- 処理後の費用と生活分を照合する。 この例なら仕事分18,000円・生活分72,000円が総額90,000円へ戻ることを確認します。
すでに18,000円へ按分した金額に、もう一度20%を掛けると、同じ支出を二度減らしてしまいます。また、メモを作ったことだけで登録が終わったとは考えず、使用する記帳方法やソフトの公式手順に合わせて実際の記録を確認します。この記事では家事按分の仕訳や画面操作までは再現していません。
計算が増えたら、資料と記録の照合で道具を選ぶ
1費目のメモで無理なく確認できるなら、同じ項目を使って続けられます。割合の根拠は整理できても、毎月の計算や記録との照合に手間が残る場合は、会計ソフトで確認したい明細取込・照合の条件を比べてください。計算結果から元の資料へ戻れるか、手計算との重複がないかを確かめます。
次に進む前に、1費目について「何の金額か」「何を基準に分けたか」「どの資料で確かめたか」「どこまで記録したか」を説明できる状態にします。割合を見直すときも、前のメモを根拠に変更点を確認できます。
参考にした一次情報
確認日:2026-09-14。整理手順と架空の記入例は、このサイトで作成したものです。
- [C11-N1] 国税庁:必要経費の知識(外部サイト)
令和8年4月1日現在法令等。家事関連費の区分、生計を一にする親族へ支払う家賃、必要経費の算入時期。 - [C11-N2] 国税庁:所得税基本通達45-1・45-2(外部サイト)
業務・経費・資産の利用状況等による判定。必要な部分が50%以下でも、明らかに区分できる場合の取扱い。 - [C11-N3] 国税庁:税務大学校教材「所得税法」(外部PDF)
第4章の家事関連費の説明を参照。所得税法45条、施行令96条第1号・第2号と青色申告の場合の整理。 - [C11-F1] freee公式:家事按分を登録する(外部サイト)
更新表示2026年8月20日。面積等による合理的な比率の例と、設定した割合で計算する機能。割合の税務上の妥当性を保証する資料ではありません。
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