確認日時、商品ごとの数量、取得時の単価、販売・返品の状態、次に確認することをまとめた在庫表です。
以下の品番・日付・金額はすべて説明用の架空データです。
確認日を決め、実物と販売記録をそろえる
最初に「いつの時点の数量か」を決めます。同じ商品でも、数えている間に発送や返品受領があると記録がずれます。
確認日時を記し、その前後の動きを区別してください。実物を数えて記録上の数量と照合することが、棚卸しの基本です。
商品ID、商品名・型番、保管場所、入荷日、入荷数を並べ、販売履歴・発送記録・返品記録を用意します。
同じ商品を複数回仕入れた場合は、入荷日や単価の違いが分かるよう行を分けると確認しやすくなります。
手元の数量と、販売できる数量は別です。 受領済みの返品、検品待ち、発送待ちは状態を添えます。
注文しただけで未着の商品は手元の数量に足さず、別にメモします。
外部倉庫に置く自分の商品や他人からの預かり品も、場所と所有者を分けて確認しましょう。
手元の商品に対応する取得時の金額を出す
次は、残った数量に取得時の単価を掛けます。この例の単価は、説明のために設定した商品ごとの購入金額です。
実際の仕入れに伴う費用や税務上の取得価額は、資料に基づいて別途確認します。
下表は2026年9月10日時点の架空の在庫です。
INV-A・INV-Bは物販の利益計算の記事と同じ商品設定で、INV-Cは在庫の確認例として追加しています。
表の「販売」は、発送して手元を離れた数量を表します。
| 商品ID・入荷日 | 数量の動き | 手元 | 取得時の単価 | 管理メモの金額 |
|---|---|---|---|---|
| INV-A・8月20日 | 2点入荷 − 1点販売 | 1点 | 6,000円 | 6,000円 |
| INV-B・8月1日 | 1点入荷 − 1点販売 + 1点返品受領 | 1点 | 4,000円 | 4,000円 |
| INV-C・6月1日 | 3点入荷・販売なし | 3点 | 2,000円 | 6,000円 |
| 合計 | 5点 | — | 16,000円 |
計算は1点×6,000円+1点×4,000円+3点×2,000円=16,000円。
このうちINV-Bの4,000円分は返品後の再販売可否を確認中です。
5点すべてがすぐ販売できる、または16,000円を回収できるという意味ではありません。
仕入れの支払いや売上は売上・経費管理表で資料と照合し、こちらの在庫表には対応する取引IDをメモすると、同じ商品を探しやすくなります。
在庫の管理額を、新しい支出としてもう一度入力する必要はありません。
入荷からの経過日数で、見直す商品を探す
数量の次に、入荷日と販売の動きを見ます。
J-Net21の停滞在庫の解説も、在庫と出荷の履歴から動きを把握する考え方を紹介しています。
[P3-N3] ここでは日々の確認用に、入荷からの日数を並べます。
| 商品ID | 入荷からの経過日数 | 次に確認すること |
|---|---|---|
| INV-A | 21日 | 残り1点の出品状態と、その後の販売の動き |
| INV-B | 40日 | 返品受領日、商品の状態、再販売できるか |
| INV-C | 101日 | 3点の保管状態、出品漏れ、販売が進まない理由 |
日数は「2026年9月10日 − 入荷日」で計算し、入荷当日を0日としています。
INV-Bの40日は入荷からの経過日数です。
一度販売して戻ったため、ずっと手元にあった日数でも、返品を受け取ってからの日数でもありません。
この例では返品受領日は未確認とし、別の欄で調べます。
101日経ったことだけで値下げ額や処分を決めず、商品の状態、出品内容、販売履歴を先に確認します。
再確認する日を決め、次回は「日数が増えたか」だけでなく「数量や確認待ちが減ったか」も見ましょう。
数量の差異と返品は、履歴を残して確認する
実物と表が一致しなければ、まず同じ商品をもう一度数えます。次に保管場所の移動、発送、返品受領、入力漏れを順に調べます。
数量を合わせるためだけに、元の行を消すと原因を追えなくなります。
差異メモは「確認日時/商品ID/記録上の数量/実数/差の理由/確認した資料/修正内容」の順で残します。
理由が分からない間は確認待ちにし、その数量を前提にした追加仕入れの判断を保留します。
返品は、元の販売と対応させて扱います。INV-Bなら、返品を受け取った事実と数量、検品結果、再販売可否を記録します。
返品予定の連絡だけで手元の数量を増やさず、受領後も同じ返品を二度足していないか照合してください。
返金額や返送料は、商品が戻った数量とは別に確認します。
INV-Bの4,000円は戻った商品に対応する取得時の金額で、口座に返金された金額ではありません。
返品後の利益への影響は、返品を含む利益計算で確かめます。
日々の管理額と、年末の棚卸評価を分ける
「在庫の金額」には、目的が異なる数字があります。
| 金額の種類 | この例で分かること |
|---|---|
| 取得時の単価による管理額 | 手元5点に対応する16,000円。仕入れの振り返りに使う |
| 売却した場合の見込み | 販売価格・費用・販売可否を確認して考える。この例では未算定 |
| 税務上の期末棚卸高 | 対象年の年末数量と、適用する評価方法等を確認して計算する |
国税庁の決算の手引きでは、売上原価を求める際に年初と年末の棚卸高を用い、棚卸資産は届出の有無等に応じた方法で評価するとしています。
破損や陳腐化した商品の評価にも条件があります。
返品された、長期間売れないという理由だけで、税務上の金額を自動的に0円にはできません。[P3-N1]
この例の9月10日の16,000円は、年末の棚卸高を確定した数字ではありません。確認した手引きは令和7年分です。
申告に使うときは申告準備の記事から対象年の案内を確認し、実数を数えたメモや購入資料を残してください。[P3-N1]
次の仕入れ前に、在庫と支払予定を並べる
表ができたら、次の順で追加仕入れを考えます。
- 同じ商品が何点残っているか。 手元だけでなく、外部保管・発送待ち・未着の発注も確認する。
- 先に解消する確認待ちがあるか。 数量差異、INV-Bの検品、INV-Cの出品状況などを調べる。
- すでに決まっている支払いを確保できるか。 入金日とカード引落日の管理で、確認済みの口座残高と支払予定を並べる。
- 仕入れの数量や時期を変えるか。
残った理由と販売後の費用を踏まえ、追加確認・数量を減らす・延期する・予定どおり進める、のどれかを決める。
在庫の16,000円や未入金の売上を、今使える口座残高に足さないようにします。
売れた商品の利益が残っていても、入金前なら次の引落しにはまだ使えません。
最後に「確認日/追加仕入れの判断/先に調べること/次の確認日」を一行残します。
今回ならINV-Bの返品受領日と検品、INV-Cの出品状態を確認事項に挙げられます。
残った数量と未確認の理由が見える状態にしてから、次の仕入れへ進みましょう。
参考にした一次情報
確認日:2026-09-10。整理手順と架空の記入例は、このサイトで作成したものです。
- [P3-N1] 国税庁「白色申告者の決算の手引き(一般用)」(PDF)(外部サイト)
令和7年分、令和7年10月1日現在の法令等。印刷ページ1〜2の棚卸資産の範囲、年末数量、評価方法、原始記録の保存を参照。 - [P3-N2] J-Net21「棚卸しの目的とその重要性について教えてください。」(外部サイト)
中小機構の事業支援情報。実物を数え、記録上の在庫数量と照合する考え方を参照。 - [P3-N3] J-Net21「不動在庫(停滞在庫)について、その対処方法、回避策について教えてください。」(外部サイト)
中小機構の事業支援情報。在庫・出荷履歴の確認と、仕入れを見直す考え方を参照。
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